ⓔコラム18-11-3 ヒ素中毒事件 (arsenic poisoning)

 ヒ素は紀元前から合成されており,白色無色無味無臭の強力な毒物で,最近まで死体から検出することが困難であったために,痕跡を残さない毒物として歴史上よく用いられてきた.なかでも中世からルネサンス期にかけて頻繁に用いられている.イギリスのジョージ三世 (1738~1820) やナポレオン・ボナパルト (1769~1821) には,ヒ素で毒殺されたとの説がある.

 日本では1998年7月25日に和歌山県和歌山市,園部地区の夏祭りで提供されたカレーに毒物が混入され,67人が腹痛や悪心を訴え,うち4人が死亡した事件がヒ素中毒 (ヒ素を含む殺虫剤ではないかと推測されている) であった.

〔古谷博和〕